プロジェクトストーリー
CROSS TALK
創業半世紀を超える協拓建設。
過去の実績を振り返りながら、協拓建設が得た技術について
語っていただきました。
PROFILE
- 福本 徹哉(代表取締役社長)
- 蓮井 孝行(専務取締役工務部長)
- 平内 誠(工事課長)
- 飯尾 宰央(工事課長)
Chapter1 協拓建設の歴史において、
変化点となったプロジェクトは?
蓮井 : ダムでは広島県の温井ダムでしょう。高さ156mという、黒部ダム(186m)に次ぐ日本第2位のアーチ型ダムで、私はそこで7年半建設に携わりました。
福本 : 温井ダムは完成までどのくらいの期間だっただろうか。
蓮井 : 1991年から2002間で11年間かかりましたね。近年は重力式のダムが多く、3年ほどで完成してしまうものがほとんどですが、その当時は工期の関係で月曜日から土曜日まで24時間2交代制で、11年。いろいろな面で制約があった上、新しい工法なども取り入れられた、かなり技術力を必要とする現場でしたが、それだけに大きなやりがいがありました。
福本 : ケーブルクレーンの作業では20tのクレーンで18tほどのコンクリートをつり上げて運ぶのに、オペレーターがタイミングを見計らって合図を出しますが、かなり難しい作業。オペレーターの腕次第でコンクリートの打ち方も変わってくるので、みんなプロ意識を持って取り組んでいましたよね。作業員の方に教えてもらうこともたくさんありました。
平内 : ダム建設は計画を立ててから半世紀かけて出来上がる、国家プロジェクト。大きさに関係なく、どの現場も印象に残っています。現場ではワンチームとなって、長期間、寝食を共にします。家族より濃密な時間を過ごしていると言ってもいいほど。現場で一緒に仕事をした人とは今でも親交があります。
飯尾 : トンネルでは四国一長い5432mの寒風山トンネルですかね。トンネルから山の頂上まで900mと長く、土圧がものすごく大きいトンネルでしたね。支保工を設置する際、山に歪みが出ないようロックボルトで縫うような作業を行うのですが、このロックボルトがちぎれて飛んでくることもあったほど山の変異が大きな現場でした。地質も硬く、発破でもなかなか掘れないという点でも難しいトンネルでした。
福本 : トンネルは1mごとに確実に作業を進めていくことが大切。通常であれば1日4m進めますが、山の力で支保工がねじれたりすることもあり、後戻りして打つ手を考えて作業をすることもたびたびありますよね。
飯尾 : 二重三重に手当てしながら少しずつ進めていきました。愛媛と高知両方から掘り進めましたが、結局完成には通常の倍の時間、9年がかかりました。
Chapter2 他に印象深い現場はありますか?
飯尾 : 高知県の日下川放水路です。2014年に立て続けに襲った台風で甚大な浸水被害が出たことから、翌年に計画され、2022年に完成した日本最長のトンネル放水路です。大雨の際、水路に利用する目的のトンネルであるため、一般的なトンネルと比べて狭く、大型重機は入れない現場でした。全長5130mと長い現場だっただけに、限られた機械を使って、いかに効率よく作業を進めていくかが最重要課題。施工手順をあらゆる角度から考慮する必要があり、とても難しい現場でした。
福本 : 当社は私はじめ、役員もみんな現場上がり。数多くの現場経験があるので、苦労や痛みだけでなく、さまざまなノウハウも共有することができます。この放水工事も、当社だからこそやり遂げることができた現場だと思います。
飯尾 : 放水路が完成した時、「これで災害が減る」と地元の人がものすごく喜んでくれたのが嬉しかったです。頑張った甲斐がありました。
福本 : 土木業は人々の生活を支えるだけでなく、災害から町を守り、さらに経済活動を生み出すなど社会における重要性が高く、これから先の未来も常に必要な存在です。私たちはこれからも「いいものを安全につくる協拓建設」であり続けたいと思います。